相続の手続きを自分でやる方法!費用や期間の目安、流れなどを徹底解説

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相続は突然起こるケースも多く、莫大な財産がなかったとしても相続争いになることがあります。


平成28年の司法統計によれば、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は1,000万円以下が33%、5,000万円以下が42%と5,000万円以下が過半数を占めています。


一方で1億円以上は20%と、金額が少ない方が遺産相続でもつれるケースが多いことが分かります。


また、相続には相続税がかかることがありますが、相続前に事前に準備しておけば相続税を軽減できることもあります。


今は考えなくて大丈夫と放置せず、残された家族のためにも相続についてしっかり学んでおきましょう。


自分が亡くなってから親戚や家族が争うなんて、辛すぎますからね。

    相続とは?

    相続とは、ある人が死亡したときにその死亡を要因として、親族等に資産が移ることをいいます。


    亡くなった人が「被相続人」、資産の移る人が「相続人」となります。


    例えば、親1人子ども1人で親が亡くなった場合、親が被相続人、子が相続人です。


    そして、相続する家や土地、預金、株式などの資産を「遺産」といいます。


    相続の際に、被相続人による遺言書がなかった場合には、法定相続分で相続します。


    または、法定相続分とは異なる相続を行う場合には、相続人で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。


    この遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印のうえ印鑑証明書を添付し、相続人全員がそれぞれ一通ずつ保有します。


    一方で遺言書がある場合は、原則その遺言書をもとに相続します。


    つまり、遺言書に書かれたことが優先して適用されるということです。


    ただ、相続人が遺言書に異論がある場合は遺産分割協議を行い、遺言書とは異なる遺産分割を行うことも可能です。


    亡くなった人が遺言執行者をしている場合には、遺産分割協議はできないので、遺言通りに相続するしかありません。

    相続の流れ

    相続している様子


    遺言書がない場合

    • 相続
    • 法定相続分で相続または遺産分割協議
    • 相続税の申告と納税

    遺言書がある場合

    • 相続
    • 遺言書に基づき相続または遺産分割協議
    • 相続税の申告と納税

    遺産分割協議で遺産分割が決まらないときは、家庭裁判所による調停、審判となります。


    家庭裁判所では遺言書がある場合は遺言書、ない場合は法定相続分をもとに調停が行われます。


    相続後は被相続人が死亡したことを知った翌営業日から、10か月以内に相続税の申告と納税が必要です。


    また、遺産分割協議がまとまらずに申告・納税期限となったときは、法定相続分の相続税を相続人全員が納めなければなりません。


    一方、相続はプラスの部分だけでなく借金などマイナスの部分も相続され、借金が多い場合は相続の放棄をすることも可能です。


    相続の放棄は、死亡したことを知ってから3か月以内に行う必要があるので、注意しましょう。


    また、マイナス分と同額のプラスの財産のみを引き継ぐ「限定承認」を行うことも可能です。


    相続するプラス財産と同額のマイナス財産だけを相続するので、マイナス財産が多い場合に非常に有効な手段となっています。


    限定承認は、相続放棄と同じように死亡したことを知ってから3か月以内に行う必要があります。


    なお被相続人が個人事業主だった場合、被相続人のその年の死亡日までの所得税の確定申告と納税が死亡日から4か月以内に必要です。


    ゼニエモンの小話

    ゼニエモンの知り合いで、お兄さんが亡くなり大変な思いをした人がいました。


    家族構成は母・兄・自分の3人でしたが、家計に余裕がなくお葬式のお金をどうしようかと思っていた矢先、ある人から「お兄さんの車を売れば葬式代がでるのでは?」と言われ、車を売却したそうです。


    その後、兄に大きな借金があることが判明したのですが、お兄さんの車を売却したことで相続したこととなり、借金まで全額相続することになってしまったのです。


    母と妹にしてみれば、何とかお葬式をしてあげたいという一心でした。


    亡くなった人の相続が終わる前に遺産へ手を付けてしまうとこんなことも起きる可能性があるので、気を付けてくださいね。

    法定相続分とは?

    法定相続分とは、民法で定められた相続人が相続できる割合を指します。


    民法ではまず相続人が決められ、相続人はどの割合で相続できるか決めています。


    もちろん先述の通り、法定相続分に関係なく相続人同士の話し合いで遺産分割を行うことも可能ですが、遺言書がないときは法定相続分をもとに相続されます。


    法定相続分で相続した場合、遺産分割協議書を作成する必要はありません。


    相続人となる人

    • 配偶者
    • 死亡した人の子ども
    • 死亡した人の父母または祖父母(父母が既に死亡している場合は祖父母という順になる)
    • 死亡した人の兄弟姉妹

    なお、内縁関係の妻や夫は法定相続人になれません。


    内縁関係にある人へ遺産を相続したい場合、必ず遺言書を作成しましょう。


    法定相続分の例


    配偶者と子供が相続人

    配偶者1/2、子ども1/2


    配偶者と父母が相続人

    配偶者2/3、父母1/3


    配偶者と兄弟姉妹が相続人

    配偶者3/4、兄弟姉妹1/4


    子ども、父母(または祖父母)、兄弟姉妹が2人以上いる場合はその中で均等に分けます。


    例えば、配偶者と子ども2人が相続人となる場合、配偶者1/2・子どもAが1/4・子どもBが1/4の配分です。


    また、相続人となる人が既に死亡または廃除(相続権をはく奪)の場合は、代襲相続といって相続権がその子どもたち(孫・ひ孫・甥・姪など)に移転していきます。


    遺言書を書く時の注意点「遺留分」

    遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹を除く相続人には一定割合を必ず相続できる権利のことを指します。


    遺留分は、以下の割合となります。


    • 配偶者のみが相続人:1/2
    • 子どものみが相続人:1/2
    • 父母祖父母のみ相続人:1/3
    • 配偶者と子どもが相続人:配偶者1/4・子ども1/4
    • 配偶者と父母が相続人:配偶者1/3・父母1/6

    兄弟姉妹には、遺留分はありません。


    この権利を侵す割合で遺言を残すと、遺留分の権利を持つ相続人が遺産を相続した人に対して、遺留分侵害額請求として受け取れるはずの遺留分を相続人に請求することができます。


    例えば、相続人が配偶者と子ども1人なのに、子どもにしか遺産を残さない旨の遺書が見つかると、配偶者は子どもに対して遺産の1/4の請求が可能です。


    相続後に争いにならないためにも、遺留分に配慮した遺言を残すことが重要です。

    遺言書は必要?

    遺言書が必要か迷っている老人の様子


    遺産がすべて現金なら、法定相続分で平等に分けてしまえば、相続人が争うことはないかもしれません。


    しかし、現実には遺産のほとんどが家などの不動産です。


    これが、冒頭で述べた遺産相続で揉めて裁判になってしまう原因です。


    例えば、被相続人の資産が家や土地4,000万円、預金1,000万円だとします。


    相続人の子供が2人のみだった場合、すべての遺産は5,000万円で法定相続分は長男と次男それぞれ2,500万円となります。


    しかし、長男が家と土地を相続すると長男の方が多く相続することになるので、代償分割といって長男から次男に1,500万円を現金で支払うことになります。


    これで次男は代償分割を入れて、2,500万円の現金を手に入れることになります。


    長男がその家に住むつもりであれば問題ないかもしれませんが、住む予定がなく貸し出せるような物件でもない場合、不平等であると争いになる可能性もあります。


    家を共有持ち分にする手もありますが、持ち分の処分も共有持分所有者全員の同意が必要となるため、不動産の処分がわずらわしく争いに発展しまうのです。


    家を取り壊すにも、お金がかかりますからね。


    このようにどんなに仲の良い家族でも、相続で争いになってしまうことがあります。


    遺言があればその財産を築いた人の意思であることから、よほどの偏りがない限り相続に対して争う可能性は低くなるでしょう。


    相続で争いにならないためにも、遺言書は元気なうちに書いておくことがおすすめです。


    遺言書の種類

    自分の遺産は法定相続分で相続しようと考えている場合でも、不動産や車、土地などの財産があるときは遺言書を作成しておくといいでしょう。


    一方で遺言書と急に言われても、どうしていいのか分からないものです。


    そこでまずは、遺言書の種類について見ておきましょう。


    遺言書の種類 手続き方法 特徴
    自筆証書遺言 本人が自筆で書き(ワープロ、代筆は無効、財産目録についてはワープロでも可)、署名、捺印が必要。
    遺言発見者が家庭裁判所での検認手続きを受ける必要がある。なお、自筆証書遺言保管制度(手数料は4,000円程度)を利用することができ、この場合には検認が不要となる。
    手軽に自分でできるが、不備があると無効になってしまう恐れや、死後気づかれない、紛失の可能性がある。
    ただし、自筆証書遺言保管制度を利用した場合にはその心配はない。
    公正証書遺言 本人の意思に基づき、証人2人(相続人以外)のもと公証人が作成する。
    作成手数料がかかる(5,000~5万円程度、相談は無料)。
    不備による無効の可能性がない。
    公証役場で保管されるので、紛失の恐れがない。
    秘密証書遺言 本人の署名があれば、代筆、ワープロで書いてもよい。
    公証役場で封印した状態で証明を受け、証人2人が必要(相続人以外)遺言発見者が家庭裁判所での検認手続きを受ける必要がある。
    保管制度は利用できない。
    内容を誰にも知られずに済むが、中身は誰も確認しないため不備がある可能性、自分で保管するので紛失の恐れがある

    自筆証書遺言

    自筆証書遺言は、自分で気軽に書けることがメリットですが、内容の確認を受けないため、不備がある可能性もあります。


    また、そもそも相続人がその遺言書の存在に気付かない、紛失するといった可能性もあります。


    遺言書を発見した人は、家庭裁判所にその遺言書を提出し、検認を受けなければいけません。


    検認とは、相続人全員に対し、その遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の偽造等を防止するための手続きです。


    遺言書の内容が有効かどうかを確認するものではありませんが、遺言を執行するためには検認手続きを経ていないと執行できません。


    ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、自筆証書遺言を法務局に管理、保管することができます。


    その内容は、原本だけでなくデータとして最長150年間保管されます。


    遺言発見者による遺言書の改ざんや破棄を防ぐことができ、紛失する心配もありません。


    また、この制度を利用すれば遺言書の検認手続きが不要になります。


    自筆証書遺言書保管制度は約4,000円で利用でき、予約すれば誰でも利用できるので、気になる人はぜひチェックしてください。


    ただ、自筆証書遺言書保管制度は遺言書の不備の可能性を回避できません。


    不備の可能性を解消できるのが、公正証書遺言です。


    公正証書遺言

    公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2人で遺言の内容を口頭で確認して作成します。


    相談無料で、内容についての不備なく遺言書を作成することができるので、非常に有効な手段です。


    ただ、公正証書遺言の作成手数料は相続資産が多いほど高くなり、5,000~5万円程度となります。


    変更等がある場合にも手数料はかかるため、自筆証書遺言に比べると気軽には作成できないデメリットはあります。


    そのほか、相続人以外の証人が必要です(公証役場で紹介してもらうことも可能)。


    公証役場はそれなりに大きい市に設置されており、地方に住んでいると足を運ぶのが大変かもしれません。


    その場合、交通費が別途かかりますが、公証人が出張して作成することも可能です。


    秘密証書遺言

    秘密証書遺言は、公正証書遺言と同様に公証役場で証明を受けますが、内容については確認を受けず、自分で遺言書を保管します。


    なので遺言発見者は、遺言書について家庭裁判所による検認を受けなければなりません。


    秘密証書遺言は、どうしても他人に内容を知られたくないときに利用します。


    遺言書の形式

    自筆証書遺言には形式のルールがあり、不備があると遺言書の効力が無効になる恐れがあります。


    ただ、下記以外には特別に厳しいルールがあるわけではないので、まずは気軽に書いてみるのも良いでしょう。


    自筆遺言書の形式のルール

    全文自筆で、ワープロや代筆は不可(財産目録はワープロでも可)
    日付、署名があること(日付は年月日きちんと書く、和暦でも西暦でもOK)
    捺印されていること
    訂正は修正液や修正テープは不可、訂正箇所には「訂正」「削除」「加筆」等の記載が必要でその部分に署名捺印が必要
    消すことのできる筆記具での記載は不可(消せるボールペンや鉛筆、シャープペンシル等)
    紙に形式指定はないが自筆証書遺言保管制度を利用する際には、A4用紙で上部と右に5mmの余白と下部に10mmの余白、左に20mmの余白が必要

    市販では、以下のような遺言書作成キットも販売されています。


    日本法令から出ている遺言書作成キットは、自筆証書遺言書保管制度にも対応しているので、法務局に保管しようと考えている人にも最適でしょう。


    自分で書くのが心配なときは、専門家に相談する、公証役場で相談しながら公正証書遺言を作成することがおすすめです。


    また、信託銀行等で遺言信託をすることも可能です。


    遺言信託では、公正証書遺言書作成・戸籍謄本取り寄せ・遺言執行・不動産登記名義変更・相続税申告まで、相続に関する手続きをトータルで任せることができます。


    手数料は約200万円(その他管理料)と高くなりますが、資産が大きい場合や財産種類が多い場合はプロに任せれば問題はないでしょう。

    相続の前に準備しておきたいこと

    相続人同士の争いを避けるためには遺言書を作成することが重要ですが、それ以外に突然の相続に備えて、相続対策と相続税対策をしておくのもオススメです。


    相続対策

    遺言書を作って希望する人に遺産を渡すこともできますが、お金が必要な今財産を渡してほしいと考える人もいるでしょう。


    相続時精算課税制度

    相続時課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫に財産を移転するときに、贈与税を2,500万円までは非課税にできる制度です。


    2,500万円を超える部分に対しては、一律20%が課税されます。


    相続時精算課税制度のメリット


    必要なときに資金を渡すことができ、税率の高い贈与税を2,500万円まで非課税にできます。


    相続時精算課税制度のデメリット


    贈与税は非課税になるものの、完全に非課税になるわけではなく被相続人が死亡時に相続税の課税対象となります。


    また、小規模宅地等特例・贈与税の110万円の基礎控除が適用されている場合、相続時精算課税制度は適用されず、その都度贈与税の申告が必要です。


    代償分割に備えて生命保険に加入しておく


    家業を継いでいる、一緒に住んでいるなどの理由で、特定の人物に家や土地を継がせたい場合もあります。


    仮に遺産の大半が家土地で占められていて、前述した代償分割が必要になりそうな場合は、死亡保険に加入しておいて、代償分割の資金を渡す方法がオススメです。


    代償分割であっても、大きな現金を他の相続人に渡すのはかなりの負担となります。


    死亡保険金は、法定相続人の数×500万円までは相続税非課税なうえ、遺産分割協議の対象にならず、必ず渡したい人に渡すことができます。


    相続税対策

    死亡保険の非課税を活用する


    死亡保険金は相続税の課税対象ですが、500万円×相続人の人数分が非課税になります。


    また、死亡保険金は遺産分割の争いの対象とならず、すぐに渡したい人に渡すことができるメリットがあります。


    教育資金非課税制度


    令和5年3月31日までに30歳未満の人が、祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合に1,500万円まで非課税になる制度です。


    信託銀行などの金融機関に資金を預けた後、教育資金で使うことの証明をすれば引き出すことができます。


    ただし、余った場合はその資産に対して贈与税または相続税がかかります。


    結婚・子育て資金の非課税制度


    20歳以上50歳未満の人が、父母や祖父母から結婚や子育てに係る一括贈与を受けた場合に、1,000万円まで非課税になる制度です。


    教育資金非課税制度と同様に、信託銀行など取扱金融機関に資金を預け、上記事由で使うことの証明をすると引き出すことができます。


    こちらも、余った場合には資産に対して贈与税または相続税がかかります。


    現金で賃貸不動産を購入する


    賃貸不動産は人に貸している分、現金を相続するよりも相続税の課税評価額が下がります。


    ただ、相続する本人は現金でほしいのに不動産になってしまった、空き家が増えて資金繰りが悪くなったなどの問題も起きる可能性もあります。


    賃貸不動産を購入する際は、相続人ともよく話し合ってから購入しましょう。


    また、相続税を減らすことに集中しすぎて老後資金が枯渇することがないよう、余裕をもって計画的に相続税対策を行うのが大切です。

    相続後の手続き

    相続後の手続きを行っている様子


    保管制度を利用していない自筆証書遺言書・秘密証書遺言書であったときは、遅滞なく家庭裁判所で検認を受ける必要があります。


    そして、遺言執行者が設定されている場合は遺言書に基づき遺産分割を行います。


    遺言執行者がいない場合は、相続人全員または遺言執行者を選任して遺産分割を行います。


    遺言執行者は遺言書作成時に指定することが可能で、遺言執行者がいると遺産分割手続きがスムーズに行えるでしょう。


    また遺言書があったとしても相続人全員が同意すれば、遺言書と異なる遺産分割を行うことができます。


    その場合、遺産分割協議となり、次に紹介する遺産分割協議書を作成することになります。


    遺書がなかった場合、法定相続分で遺産が分けられます。


    遺産分割協議書の作成

    遺言書がなく相続人で遺産分割協議を行った場合には、遺産分割協議書を作成する必要があります。


    遺産分割協議書は、相続人全員の署名捺印、印鑑証明書の添付のもと、相続人全員にそれぞれ1部ずつ渡される書類です。


    相続人が未成年や成年後見制度を利用している場合、その親権者または後見人が代理人となって署名捺印します。


    ただし、親権者も相続人となっている場合には親権者と利害関係が成立するため、特別代理人を選任する必要があります。


    特別代理人は相続人でなければ誰でもなれますが、相続の内容が知られることになるので、知られても大丈夫な人や専門家にお願いするのが良いでしょう。


    遺産分割協議書の形式
    • 被相続人の氏名、死亡日を記載
    • 法定相続人の氏名、住所、署名、捺印、印鑑証明書
    • 誰がどれを相続するのかを記載
    • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
    • 相続人の戸籍謄本

    他にも、遺産の確認に不動産登記簿・金融機関の残高証明書・車検証が必要です。


    遺産分割協議では法定相続分を基本に話し合われますが、「寄与分」を考慮することがあります。


    寄与分とは、被相続人に財産の維持や増加に特別の寄与がある場合に、その相続人の相続分を増やす考え方です。


    この寄与は精神的な協力や援助は考慮されず、借入金を減らした、財産を増加させたなどが認められます。


    寄与の例

    • 無償で事業を手伝った
    • 借入金を代わりに返済した
    • 無償で自宅にて寝たきりの被相続人の介護をした
    • 被相続人の代わりに不動産管理を行っていた

    相続税の申告・納税

    相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告・納税が必要になります。


    遺産分割協議がまとまっていなかったとしても、法定相続分で相続したとして計算した相続税を期限内に納める必要があります。


    相続税は全員かかるわけではなく、以下の基礎控除額を超える場合に納税が必要です。


    ちなみに「相続の開始があったことを知った日」とは、被相続人が死亡した日を指します。


    相続人が実際に被相続人の死亡を知った日ではないので、注意しましょう。


    基礎控除額

    3,000万円+600万円×法定相続人の数


    法定相続人の数は、放棄した人がいても数に入れることができます。


    養子は実子がいるときは1人まで、いないときは2人までです。


    例えば、相続人が配偶者と子ども2人だった場合の控除額は3,000万円+600万円×3=4,800万円なので、遺産が4,800万円を超える場合は相続税がかかります。


    また相続税の計算において、相続資産から債務・葬式費用・死亡保険金の一部(法定相続人×500万円まで)を控除することができます。


    一方、相続時精算課税制度を適用して既に贈与している財産、相続開始3年以内に贈与した財産は相続財産に含めることになります。


    相続税の計算は、法定相続で分けたとしてまず相続税を計算して、その合計額を実際の相続分と同じ割合でそれぞれの相続人に分配します。


    相続人それぞれに納税義務が生じ、相続税の申告自体は基本的に相続人共同で行います。


    相続税には税金を大幅に軽減できる以下のような特例があり、その結果相続税が生じなかったとしても、申告義務はあります。


    小規模宅地等特例

    被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用、居住用に供されていた宅地は、一定割合が減額となります。


    小規模宅地等特例が適用される例

    • 被相続人の配偶者が一緒に住んでいた家を相続
    • 被相続人と同居していた子供またはその配偶者が相続
    • 賃貸に住む被相続人の子供が、1人暮らしをしていた被相続人の家を相続(家なき子特例)

    配偶者の税額軽減

    配偶者は、法定相続分または1億6,000万円まで相続税が非課税になります。


    さらに、以下の場合に該当する場合は相続税から直接税額控除が受けられます。


    障害者控除

    障害のある人が相続した場合、相続税を一定割合控除できます。


    控除額の計算式は、以下の通りです。


    満85歳に達するまでの年数(1年未満の端数切上げ)×10万円(特別障害者は20万円)


    例えば、30歳の特別障害者が相続した場合、55年×20万円=1,100万円が相続税から控除されます。


    特別障害者とは、精神障害者1級、身体障害者1・2級、または常に介護が必要で寝たきりの状態である方を指します。


    未成年控除

    20歳未満の相続人も、満20歳に達する年数に10万円をかけた金額分の相続税が控除されます。


    満85歳に達するまでの年数(1年未満の端数切上げ)×10万円(特別障害者は20万円)


    例えば10歳の子どもが相続した場合、10年×10万円=100万円が控除されます。


    もし相続税額が100万円なら、相続税は0になります。


    相続税の延納

    相続税は相続人が支払う必要があり、遺産分割協議が終了していない、相続資産が不動産等で相続税の支払いが困難なケースもあります。


    そんなときは、相続税が10万円を超える場合に適用できる延納制度を利用しましょう。


    延納金額が100万円超かつ延納期間が3年超である場合には、担保が必要になります。

    日頃から財産管理をしておこう

    相続後の手続きを行っている様子


    相続は、どのタイミングで起こるかハッキリとは分からないものです。


    自分が亡くなった後に、残された家族が困らないように遺言書で準備しておくことは、非常に重要と言えるでしょう。


    自分が残した遺言書があるだけで、家族が争わなくて済む確率は非常に高くなります。


    その他にも契約している金融機関が複数ある場合は、まとめて箇条書きにしておくことや、加入している保険が分かるように重要書類のファイリングをしておくことも必要です。


    毎月利用料がかかる定額サービスも不要なものは解約する、またはIDやパスワードを記録に残しておきましょう。


    例えば亡くなったあとに、有料動画サービスの解約をする、ネットの契約を退会するとなるとIDやパスワードがないと、残された家族の負担はかなり大きくなります。


    遺言書は自分が残したものをどう振り分けるかという指示以外にも、最後の優しさや思いでもあります。


    そして、あれやこれやと気になりながらも旅立つよりも、すっきりした気持ちで旅立つ自分のためでもあるので、相続はしっかりと指示しておきましょう。


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